登録販売者なら知っておきたい【アレグラ・アレジオン・その他鼻炎薬の違い】

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たけのこ

ドラッグストア勤務5年の現役の登録販売者。
独学で登録販売者の勉強をして112点を取りました。
登録販売者以外に「薬学検定1級」「サプリメントマイスター」の資格を所有してます。

実務で経験したことを基に新人時代にやるべき勉強法や売り場に立っても困らない登録販売者試験の勉強法、さらには追加で勉強すべき専門分野や専門書、サプリメントのことも出来るだけわかりやすく発信します。

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今回は登録販売者ならば知っておきたい「アレグラ」「アレジオン」などのアレルギー用鼻炎薬やその他鼻炎薬の違い、売り場での販売のポイントなどを共有していきたいと思います。

特に花粉の季節などでは需要が非常に大きくなり、売り場でも大々的に陳列されたりします。

お客さんからの相談も非常に多く、ここをしっかりと答えられるようにすることで信頼を得られますし、販売ノルマ達成などにも大きく貢献できますので、しっかりと押さえておきましょう。

アレルギー性鼻炎とは何か

まずは薬の効果をお話しする前に、そもそもアレルギー性鼻炎とは何なのかおさらいしていきましょう。

佐藤製薬のホームページよりまずは引用文を見てみましょう。

アレルギー性鼻炎とは?

「アレルギー」はからだの免疫システムが関係して起こる症状で、ある特定の物質に対する防御反応が過敏に起こる体質の人に多くみられます。しかし近年は、体質に加えてストレス、食生活、大気汚染、日常をとりまく化学物質の増加なども影響を与えているのではないかと考えられており、現代病の一つともいわれるようになりました。

「アレルギー性鼻炎」とは、鼻の粘膜に入った異物を排除しようとする反応が過剰に起こり、おもに鼻水、鼻づまり、くしゃみといった鼻炎症状が続く状態をいいます。かぜの合併症としても同じような症状が見られますが、かぜの原因がウイルスであるのに対し、「アレルギー性鼻炎」の原因は花粉やハウスダストなどが多いといわれています。

佐藤製薬ホームページより引用 https://www.sato-seiyaku.co.jp/healthcare/allergy.html

簡単に言えば、体が花粉なのどの異物から自分の身を守るために起こす免疫反応の一種で、

その働きが鼻に起こると、鼻水を分泌して外に出そうとするわけです。


この働きは、自分の体を守るためには必要不可欠な働きなのですが、過剰に起こると鼻水が止まらなくなったり、鼻づまりを起こしたりします。


風邪との区別のポイントとしては、咳や発熱などが付随する場合は風邪の可能性が高く、鼻や目のみに症状が出ている場合は花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎の可能性が高いです。
(一概には言えませんが概ねこのような区別を売り場ではします)

鼻炎薬に配合される成分

鼻炎薬に配合される成分の代表が抗ヒスタミン成分です。

そのほかに血管収縮作用を期待して、アドレナリン作動成分が配合されることも多いです。


今回の記事の主役である「アレグラ」や「アレジオン」は抗ヒスタミン成分に分類されています。

なので、今回は抗ヒスタミン成分に絞って話を進めていきます。


さて、登録販売者ならば抗ヒスタミン成分には「第一世代」というのと「第二世代」というのがあることはご存じでしょう。

まずは、それぞれの特徴を押さえておきましょう。

抗ヒスタミン成分第1世代

第1世代抗ヒスタミン成分に分類されるものの代表は「クロルフェニラミンマレイン酸塩」「クレマスチンフマル酸塩」といったものでしょう。


これらの成分は非常にポピュラーで、鼻炎薬に限らず風邪薬や咳止め薬に配合されていたりします。

第一世代という名前の通り、昔から非常によく使われいていた成分で、即効性があり、効き目も非常にいいのが特徴です。

しかし、その一方で、脳への移行性が非常に高く、「眠気」「口の乾き」「目がチカチカする」といった副作用も強く出やすいことが特徴です。
そのため、「してはいけないこと」に「車の運転」などが記載されています。

とある研究ではクロルフェニラミン2mgでウイスキーの水割り3杯ほどの眠気を誘発するという研究結果も出ていて、国によってはクロルフェニラミンを飲んだ状態で車を運転すると飲酒運転と同じ罰則を科すところもあるそうです。


例えば、鼻炎薬として非常に有名な「新コンタック600プラス」という鼻炎薬があります。

この薬にはクロルフェニラミンマレイン酸塩が8mg配合されています。ウイスキー12杯分です。



また、「アネトンメルディ鼻炎薬」にはクロルフェニラミンマレインマレイン酸塩が12mgも配合されています。

これらの鼻炎薬は長期間飲むと脳への負担が非常に大きくなり、連続して2週間以上は服用しないことが推奨されています。


いかに、佐藤製薬のホームページに記載されている文章を引用しておきます。

第1世代抗ヒスタミン薬

鼻炎症状を引き起こすヒスタミンの働きを抑え(抗ヒスタミン作用)、鼻水、くしゃみ、鼻づまりを改善します。第1世代抗ヒスタミン薬の多くは、「抗コリン成分(鼻水・くしゃみを改善)」「血管収縮成分(鼻づまりを改善)」が配合されているため、鼻水や鼻づまりを総合的に抑えてくれることが特徴です。その反面、眠気や口の渇きなどの副作用は第2世代抗ヒスタミン薬に比べ現れやすいといったデメリットもあります。

佐藤製薬ホームページより引用 https://www.sato-seiyaku.co.jp/healthcare/allergy.html

抗ヒスタミン成分第2世代

先ほども書いたように、第一世代抗ヒスタミン成分は非常に効き目が良く、即効即効性もあるのですが、副作用もその分大きく長期服用は避けるべき成分です。


しかし、花粉症のように長い期間鼻炎薬を飲まなくてはいけない場合もあります。

第一世代の抗ヒスタミン成分は脳への負担が大きすぎて何カ月も飲むことはできません。

そこで、長い期間服用できるような抗ヒスタミン成分が開発され、それが「第二世代抗ヒスタミン成分」と呼ばれるものです。代表的なものは「フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ)」「エピナスチン塩酸塩(アレジオン)」です。


これら第二世代抗ヒスタミン成分は第一世代と比べて即効性は劣るものの、脳への移行性が低く、眠気や口の乾きが少ないことが特徴です。(0ではありません)

そのため、脳への負担も第一世代と比べて少ないので、花粉症のシーズンを通して服用することができます。

飲み方としては、花粉の季節が始まる1カ月くらい前から服用を始めます。

そうすると徐々に体にバリアができてくるイメージです。

そして、花粉本格シーズン中も服用を続けることで鼻の症状を抑えることができます。


ここでも、佐藤製薬のホームページに記載されている文書を引用しておきます。

第2世代抗ヒスタミン薬

第2世代抗ヒスタミン薬は、「抗ヒスタミン作用」だけではなく、「抗アレルギー作用(アレルギー症状の発生を抑える)」も併せ持つことです。そのため、花粉飛散シーズンに花粉症の初期症状が出始めたタイミングから使用すると効果的です。また、眠気などの副作用が第1世代抗ヒスタミン薬に比べて少ないことも特徴です。

佐藤製薬ホームページより引用 https://www.sato-seiyaku.co.jp/healthcare/allergy.html

第一世代抗ヒスタミン成分と第二世代抗ヒスタミン成分の使い分け

抗ヒスタミン成分の第一世代と第二世代の違いをおさらいしたところで、では売り場でどうやって販売し分けているのか書いていきましょう。


ポイントは「今現在の症状はどうか?」

という事です。


今現在すでに鼻水がとても出ていて止まりそうにない、そんなときはまず第一世代の抗ヒスタミン成分が配合された鼻炎薬で、一旦しっかりと鼻水を止めたほうがいいです。

2,3日服用して収まってきたら第二世代のものにスイッチするといいでしょう。


第二世代抗ヒスタミン成分は即効性がないため、すでに鼻水などの症状が強く出てしまっている場合は、まずは即効性のある第一世代抗ヒスタミン成分で抑えることが有効です。

ただし、眠気なのどの副作用も出やすいことはきちんと説明しましょう。

抗ヒスタミン成分には第一世代と第二世代がある

  • 第一世代は即効性があるが副作用も出やすい。服用は短期間にとどめる
  • 第二世代は即効性はないが副作用も出にくい。長期間服用できる

第二世代抗ヒスタミン成分の違いと使い分け

最近では「アレグラ」「アレジオン」「クラリチン」など様々な第二世代抗ヒスタミン成分の鼻炎薬が販売されています。

では、これらはどのように使い分けていくのでしょうか?


ここで、頭の片隅に入れておいてほしいことが、第二世代抗ヒスタミン成分にはその構造式の特徴の違いから「ピペリジン/ピペラジン系」と「三環系」の二種類があります。

これを踏まえて売り場でよく聞かれる第二世代抗ヒスタミン成分配合の鼻炎薬についてみていきましょう。

アレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩)

アレルギー用鼻炎薬の代表といって過言ではない「アレグラ」

アレグラの成分は「フェキソフェナジン塩酸塩」で、「 ピペリジン/ピペラジン系 」に分類されます。

1日2回服用するタイプで、脳への移行性がとても低く、鼻炎薬の中で唯一といってもいい「してはいけないこと」に「車の運転」が入っていません。

その分即効性がほとんど期待できないので、花粉症などのシーズンの1カ月前くらいから服用を始めないと効果が期待できません。

すでにある程度症状が出ているのであれば別の鼻炎薬を検討するべきでしょう。

自分が花粉症を発症するという事が分かっているのであれば、速めに服用を始めることで鼻水などの症状を押さえつつ眠気などもほとんど起こせずに乗り切ることができます。

アレジオン・クラリチン・新コンタック鼻炎Z

次にアレジオン・クラリチン・新コンタックZを見ていきましょう。

アレジオン
クラリチン


新コンタック鼻炎Z


まず、これらは「三環形」に分類される第二世代抗抗ヒスタミン成分が配合されています。

どれも1日1回服用タイプです。


また、これらも脳への移行性が低いですがアレグラほどは低くありません。

その分即効性に関してはアレグラよりは期待できますが、眠気などはアレグラと比べて若干出やすくなります。

アレグラとの違いはまず、即効性がアレグラよりも期待できるため、すでにある程度症状が出始めてから服用し始めても効果が期待できます。

また、アレグラを飲んであまり効果を感じられなかった人は、アレジオンなどに切り替えることで効果を感じられるかもしれません。
(逆にアレジオンからアレグラへの切り替えはあまり意味がないかと思われます)


これら三環系は兄弟のようなもので、病院でも例えば「アレジオン」が効かなかったら「クラリチン」に切り替えて、どれでもダメなら「セチリジン(新コンタック鼻炎Z)」に切り替えて、と三環形を順番に使っていくという事をするそうです。



なので、売り場でも例えば「アレジオン」がダメだったら「クラリチン」にして、・・・といった案内をして、それらでもダメなら病院でこれらを試してもダメだった旨を伝えれば別の三環形のものを処方してもらえるかもしれません。



ちなみに、この三つで脳への移行性を比べると

「アレジオン(エピナスチン塩酸塩)」<「クラリチン(ロラタジン)」<「新コンタック鼻炎Z(セチリジン)」
だそうです。

アレグラとアレジオン等の使い分け

ここまで見てきたように、「アレグラ」と「アレジオン」「クラリチン」「新コンタック鼻炎Z」は少し特徴が違います。


これらを使い分けるポイントとしては

今現在の症状はどの程度か?

まだ症状が出ていないのであれば「アレグラ」、少し症状が出ているのであれば「アレジオン」、かなり症状が出ているのであれば一旦第一世代で止めてから「アレジオン」がいいでしょう。

飲み始める時期は?

まだ、花粉症などのシーズンに入っていないのであれば「アレグラ」でも十分に効果は出るでしょう。

すでにシーズンが始まっていて、症状も出始めているのであれば「アレジオン」がいいかと思います。


以前試したことがある薬はあるか

例えば、以前アレグラを服用したことがあって、それで十分効果を感じられていたのならそのままアレグラでいいでしょう。


逆に、アレグラを試したけどあまり効果を感じなかったのであれば「アレジオン」に切り替えたほうがいいかと思います。

あるいは、アレジオンを試したけどダメだった、クラリチンを試したけどダメだった、そんな時は別の三環形の成分を試すのがいいかと思います。

まとめ

今回は登録販売者ならば知っておきたい「アレグラ」「アレジオン」などの鼻炎薬の使い分けについて書いてきましたがいかがだったでしょうか?


アレグラ、アレジオンは非常に相談されることが多く、これらに的確にこたえられるようにすることでお客さんからの信頼を得ることができます。

また、これらの薬はPB商品が発売されていることも多いかと思いますので、ノルマ達成にもつながるかと思います。

今回の記事が登録販売者の皆さんの参考になれば幸いです。